正規空母(せいきくうぼ)とは、航空母艦(空母)の一種。一部の例外を除いて、空母として運用される目的で建造されたものを指す。
この用語には複数の解釈があり曖昧に使用されている。また、第二次世界大戦当時と現代でも解釈が異なる。
2012年現在この現代の定義に当てはまる空母を持っている国は、アメリカ合衆国、フランス、ブラジル、ロシアのみである。
アメリカ海軍は第二次世界大戦中に建造したエセックス級・ミッドウェイ級にジェット機を運用するためにアングルド・デッキの増設改修したものを保有していたがこれらは1992年までに全艦が退役し、第二次世界大戦後に当初よりジェット機を艦載機とする前提で建造された通常動力型もフォレスタル級が1998年までに、キティホーク級も2007年までに全艦が退役したため、現在保有する正規空母はすべてが排水量8万トン超の原子力空母となっている。
また、1975年の艦種再編で、それまで正規空母に該当する艦種であった艦隊型空母(Fleet Aircraft Carrier・米海軍の船体分類記号でCV)、攻撃型空母(Attack Aircraft Carrier・米海軍の船体分類記号でCVA)、攻撃型原子力空母(Attack Aircraft Carrier, Nuclear・米海軍の船体分類記号でCVAN)などが多目的空母(Multi purpose Aircraft Carrier・米海軍の船体分類記号でCVただし原子力船はCVN)に統一された。
フランス海軍の空母「シャルル・ド・ゴール」は原子力潜水艦用の原子炉を転用した機関を搭載する原子力空母で、E-2C早期警戒機とラファールM艦上戦闘機を運用可能な最小サイズともいえる。しかし、飛行甲板の長さが足りないなど就役前から問題になり予定されていた2番艦の建造は中止された。
2012年現在、シャルル・ド・ゴールに続く次期空母が計画されているが、これはイギリスのクイーン・エリザベス級の準同型艦と言えるもので、搭載機はラファールM、機関は通常動力となる。
ロシア海軍の「アドミラル・クズネツォフ」は基準排水量5万トン超の大型艦であるが建造費用を圧縮するという政治的な理由により蒸気カタパルトを装備せず発艦時はスキージャンプを使用する。
搭載機は空軍の主力戦闘機Su-27の艦上戦闘機型のSu-33でカタパルトを装備しないためSTOBAR機として扱われる。
また、航空打撃力の不足を補うために巡航ミサイルを始め各種ミサイルが装備されている。
なおロシアはモントルー条約による制限を避ける政治上の理由で、アドミラル・クズネツォフやキエフ級を「航空母艦」とではなく「航空巡洋艦」と呼んでいる。
ブラジル海軍の空母「サン・パウロ」は元フランス空母「フォッシュ」で、カタパルトを装備しCTOL機運用能力を持つが、排水量は第二次世界大戦当時のエセックス級と同大で運用可能な艦載機の重量に厳しい制限がある。
艦載機はアメリカから輸入しているが、80年代以降アメリカはスーパーキャリアと呼ばれる超大型空母しか運用していないため現在アメリカで製造されている艦載機はすべて超大型空母でしか運用不可能な大型・大重量の機体のみであり、それらはサン・パウロでは運用不可能なため後継の新型艦載機を導入することができず、搭載機は旧式機でその能力は現代戦においては疑問が残る。
ニミッツ級の後継艦として、ジェラルド・R・フォード級原子力空母を建造中である。
2012年現在建造中なのは1番艦「ジェラルド・R・フォード」であり2015年就役予定。2012年中に2番艦「ジョン・F・ケネディ」の起工が予定されている。
イギリス海軍では1978年に「アーク・ロイヤル」が退役した後、多額の建造費と運用費が掛かる正規空母の運用を諦め、STOVL機の運用能力しか持たない満載排水量2万トンのインヴィンシブル級軽空母を30年近く運用してきたが、インヴィンシブル級の後継として満載排水量6万トンを超えるクイーン・エリザベス級2隻の建造が進められている。
クイーン・エリザベス級の搭載機としては当初STOVL型のF-35B統合打撃戦闘機が予定されていたが、F-35Bの開発難航によりCTOL型のF-35Cへ変更することとなり、電磁式カタパルトを強化・再設計する必要が生じたため開発期間が必要となり、1番艦である「クイーン・エリザベス」はカタパルトを装備せず一切の固定翼機を搭載しないヘリ空母として2016年に就役し、2番艦の「プリンス・オブ・ウェールズ」のみが電磁式カタパルトを装備してF-35Cを搭載機にする正規空母として2019年に就役予定とされている。なお「プリンス・オブ・ウェールズ」の就役時に「クイーン・エリザベス」は予備役となるとされている。
STOVL機のシーハリアーを搭載する軽空母「ヴィラート」を運用してきたインドだが、スキージャンプ甲板を利用するSTOBAR方式でCTOL機を運用する「ヴィクラント」の自国建造を進めており、2012年初めに進水まで行い艤装工事段階に移った。またロシアに同じくSTOBAR方式の「ヴィクラマーディティヤ」の改装を発注しているが工事が遅延を繰り返しており就役年は未定である。
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